日時: | 平成16年12月2日(木) 午後6時30分より |
場所: | 戸山サンライズ 2階特別会議室 |
出席者(順不同): | 前田章夫(日本図書館協会)、 南亮一(日本図書館協会)、 亀井正博(電子情報技術産業協会(JEITA))、 松本美信(JEITA)、 大高英男(JEITA兼日本知的財産協会)、 竹内誠也(JEITA)、 宮下あけみ(手話通訳士・パソコン字幕) 井上芳郎(LD親の会)、 梅田ひろみ(全視情協)、 川畑順洋(日盲連)、 水野鈴子(全要研)、 藤澤敏孝(就労センター)、 河村宏(専門委員)、 東山文夫(リハ協)、 原田潔(リハ協)、 小林知弘(リハ協) |
1 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会、報告
2 「著作権法改正要望」に関する経過報告等(各団体より)
3 意見、情報交換等
4 その他
1-1 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会、議事次第等
1-2 障害者放送協議会・著作権委員会資料(井上委員長より)
2-1 関係団体からの著作権法改正要望について(一部抜粋)
2-2-1 日本図書館協会の法改正要望事項等について
2-2-2 著作権法改正に関する要望事項(日本図書館協会)
2-3 著作権法改正に関する要望事項(JEITA)
2-4 著作権法改正に関する要望事項(日本知的財産協会)
2-5 著作権法改正に関する要望事項(障害者放送協議会)
3 著作権「守るべきもの」と「最低限の文化的生活権」
・自己紹介より開始する。
・井上委員長より、文化庁の「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会」について報告される。第3回目(11月2日)の資料に、経済産業省、厚生労働省から、一部権利制限を拡大検討すべきという意見が出ているとのこと。文化庁としては著作権法改正に関し、3年以内でまとめたい意向であるが、特に緊急性、重要性が高いものは1年以内にまとめたいとのこと。現在出されている要望のうち、どれを緊急なものするか、整理している段階であるということ。ワーキングチームを作るということであるが、現在のところ、障害者等に特化した内容を検討するものについての設置予定はない、ということが報告される。
日本図書館協会より経過説明
現在の著作権法は、37条で視覚障害者、37条の2で聴覚障害者の問題を扱うことになっているが、障害別の対応は無理があるのではないか、37条の構造を変える必要があるのではないかいう考えから、要望書を提出した。
電子情報技術産業協会(JEITA)より経過説明
要望事項に関しては、半分以上が権利制限に関するもので、現状の37条の2で、限定的に書かれているものを、利用しやすいように改訂すべきであるという考えに基づき要望書を提出した。
日本知的財産協会より経過説明
障害者、高齢者の権利制限については、JEITAと同様の趣旨で要望書を提出した。
・事例発表として宮下氏より、NHKと著作権交渉をした際のやりとりが紹介される。
宮下氏より、字幕に動画をつける「動画のサンプル」としてNHKのアニメを使い、限られた範囲の難聴児者や、その支援者に視聴してもらうためのコピーを認めて欲しいとの要望をしたが、認められなかったとのこと。
・ディスレクシア(読み書き障害)をはじめ、わかりづらい障害、法律の対象外になっている障害があるが、それらを一つ一つ著作権の定義を決めたり、診断がどうとかいうのではなく、実際に困難があるという事実で対応すべきであるという意見が出る。
・知的障害者が著作物を利用する時、そのまま読む事は非常に難しい。意味がわかるように書き換えることが重要な行為となるが、著作者にとってみれば、置き換えた言葉に微妙な違いが生じる為、認めてもらえないのではないかと思う。そういう意味で、知的障害者にとって、著作物を楽しむということは、厳しいものがあるという意見が出る。
・今の権利制限規制のままでも有効なもの、縛ってしまうような規制を、業界だけで決めている。ユーザーの意見なしで決定したものについては、公正な手続きを踏んでいないもとして、抗議していくべきではないかという意見が出る。
・日本図書館協会より・・・日本図書館協会は、5月に日本文藝家協会との間で、「著作権一括許諾」の協定を結んだ。それにより、日本図書館協会に登録している図書館であれば、文藝家協会加盟の作家に関しては、著作権許諾の交渉をしなくてよくなった。しかし、これだけでは著作権問題の解決策だとは思っておらず、障害のある方にも平等に作品を提供するには、法改正しかないと思われるとのこと。(加盟している作家は約2,000名とのこと)
・JEITAより・・・(コピーワンスについて)受信機をつくる立場で放送局と話をする場合、1回のコピーしかできないものにするよう、要望されるとのことで、今日ここで話を聞いて、視聴する側の考えが全く反映されない仕組みの中で、事が決まるということが問題ではなかったかとのこと。また、この先権利者側は、いかなるプロテクトであれ保護していくという方針なので、利用者、視聴者の立場で声を出していく事が重要である。放送協議会として、放送局側と意見交換会の場をもってみてはどうかとのこと。
・委員より、産業界側の専門家の方も、障害を持つユーザーと一緒に行動してくれる部分もあると認識できたという感想があった。
・井上委員長より、著作権についての意見交流会をしてはどうかとの提案がある。時期、場所等は未定であるが、次回以降の委員会で検討していく予定。
*次回委員会については、後日日程調整を行うこととする。