障害者放送協議会 第6回災害時情報保障委員会 議事まとめ(2004年12月2日)

日時: 平成16年12月2日(木)15:00〜18:00
場所: 戸山サンライズ 2階特別会議室
出席者(順不同): 川畑順洋(日盲連)、
矢澤健司(JD)、
近藤豊彦(全視情協)、
大杉豊(ろうあ連盟)、
佐野昇(全難聴)、
荒井洋(全精社協)、
藤澤敏孝(就労センター)、
田中秀樹(きょうされん)、
坂東敏子(全要研)、
井上芳郎(LD親の会)、
山本衛(自閉症協会)、
河村宏(専門員)、
坂井律子(オブザーバ)、
東山文夫(リハ協)、
原田潔(リハ協)、
小林知弘(リハ協)

議題:

1 新潟県中越地震等に関わる、各団体の取り組み等について
全日本ろうあ連盟
全国難聴者・中途失聴者団体連合会
全国要約筆記問題研究会
日本盲人会連合
全国視覚障害者情報提供施設協会
全国精神障害者社会復帰施設協会
日本自閉症協会

資 料:

1-1 新潟県聴覚障害者地震対策本部ニュース(1〜4)【ろうあ連盟提供】
1-2 全難聴より提供資料
1-3 日盲連より提供資料
1-4 視覚障害者関連の災害時における問題【全視情協提供】
1-5 なし
1-6 新潟中越地震関係報告書(一部抜粋)【自閉症協会提供】
2-1 シンポジウム企画案
2-2 各地域・各団体における、災害に関する取組み事例について

参考資料

3-1 「災害弱者支援マニュアル作成」(新聞記事)
3-2 「災害弱者把握、自治体の2割 消防庁の市町村調査」(新聞記事、『地域防災計画等に係る全国調査結果』)

協議内容まとめ

1 新潟県中越地震等に関わる、各団体の取り組み等について

全日本ろうあ連盟より報告

・新潟県には、会員が約400名いる。会員中、全壊1軒、半壊6軒、一部損壊が24軒であった。現在(11月26日現在)も避難所生活をされている方は、5名である。

・聴覚障害者関係では、現地の聴覚障害者協会、手話通訳士の集まり、手話サークル連絡会、新潟の聴覚障害者情報提供施設協会が連携し、対策本部をつくった。そこに、ろうあ連盟、全国要約筆記問題研究会、手話通訳協会が加わり、支援をしている状態である。

・支援の内容は、本部がスムーズに動けるようアドバイスや、義援金集めなどが主である。

・また、12月23日には、近くの温泉での慰安を企画しており、その場に全国の聴覚障害者の医療ネットワークから専門家を派遣して、問診を含む支援を考えている。

・災害時、公共、民放の放送局が、障害者に注意を払えないならば、障害者間で協力し、チームを編成し、被災地へ行って映像をつくったり、情報収集等すべきではないかと感じた。

全日本難聴者・中途失聴者団体連合会より報告

・会の関係者は約30名ほどであったが、ほとんどの方が被災した。

・聴覚障害者は、見た目には障害の有無がわからない為、「私は耳が不自由です」という名札を作り、現地に持ち込んだ。聞こえない人がいるということ、周りの人に認知してもらうことに非常に有効であった。

・国には埼玉県庁を通じ、「見えるラジオ」100台を新潟県に支援するよう要請し、決定したが、役所の対応が遅く、実際に送る頃にはライフラインも復旧し、不要になってしまったという反省点から、日常品にfmラジオを入れておくことが重要であると感じた。

・具体的な支援として、情報保障、情報提供で何ができるかといろいろとやってみたが、直接現地に行って被災者の方と顔を合わせて情報を出していくことが一番有効でないかと感じた。

全国要約筆記問題研究会より報告

・今回の支援に関しては、全難聴とともに動いた。両団体に災害時にどう対応するか、全国ネットワークができているが、各県で温度差がある。新潟県の場合、うまく機能しなかったようである。

・全要研、全難聴で、東京事務所に対策本部を設けた。

・要約筆記者だとわかるジャンパーを準備し、現地に送った。

・義援金、ボランティアの募集もできるようにしたが、現地の対策本部がなかなか立ち上がらず、実際にボランティとして現地入りしたのは1ヶ月を過ぎてしまった。

日本盲人会連合より報告

・会員の被災者は25名であった。

・ボランティアの支援が大変多かったが、視覚障害者の場合、家の中を変に整理してしまうと、何がどこにあるかわからなくなっていしまう等、マイナスになる面の多いため、支援要請を断った例があった。

・被災各地で視覚障害者が参加し、災害マニュアルの作成を進めているが、被災してから行政が入るまでの、1週間分のマニュアルを作ってほしいというのが現場の声として挙がっている。行政の視点ではなく、被災者は今すぐ身近なものを必要としている。

・マニュアルを作成する際、被災地では情報が混乱していることを考慮したほうがいい。(情報は東京等の外部からの方が正確な場合があるため)

*新潟県の視覚障害者の議員による、災害レポートをテープで聞いた。

全国視覚障害者情報提供施設協会より報告

・会としては、今回の災害に関し直接利用者と接点はないので、関係団体である「レスキュウーストックヤード」からの情報として報告とさせて頂く旨が伝えられる。

・健常者も含め、災害時の準備は何もなされていない感があった。

・障害のある人は、一般の避難所ではなく、障害者の施設などで生活するのがよいと思った。

・行政のマニュアルは多くが復旧マニュアルなので、緊急時の生命を救うというマニュアルが必要ではないか。

全国精神障害者社会復帰施設協会より報告

・県庁で把握しているものとして、県内の精神障害者を対象とする社会福祉施設は62箇所あり、内14箇所が被災したが、利用者、関係者には被害はなかった。

・被災当初は県内の関係各所と連絡がとれなかったので、新潟県庁に連絡し、情報を得た。その情報を各所に流すという流れであったが、落ち着いてくると、新潟県支部から情報を発し、それを本部で受け、全国会員に流し、さらにもう一度新潟県内に流すという仕組みで対応した。

・これから厳しい冬を迎えるので、それへの対応が今後の課題であろう。

日本自閉症協会より報告

・会員数は300名。23世帯が被災し、県基準の全壊、半壊は3棟、基準外の被害は19件であった。

・避難所を利用した家族は3家族、養護学校を利用した家族は2家族であった。自閉症のある人の場合、一箇所に大勢でいることが難しいため、車の中で過ごしたところもあったようである。

・国や県では、各施設に受け入れ可能な人数を確認し、それを被災した世帯の自閉症のある人に知らせ、緊急入所できるよう対応した。

・住所と電話番号だけの会員名簿では、安否確認が難しかった。個人情報の取り扱いから、どこまで詳しい名簿を整備しておくかという問題が浮き彫りになった。

・支部の役員が被災地を訪問し、状況の把握と役場への申し入れを行っている。定期的に調査を継続し、状況の変化に対応した対策をとることとする。

全国社会就労センター協議会より報告

・身体障害者施設のうち、63施設で被害を受けた。(致命的なものではない)

・施設関係は、3〜4日で再開されたとのこと。

きょうされんより報告

・小規模作業所14箇所中、部分的損傷が1箇所であった。被害者はなし。

・全国1700の作業所で募金活動中であり、冬に向け今後の対応を検討中である。

河村委員より北海道浦河町について報告があった。

2 今後の進め方について 他

・事務局より、来年開催予定のシンポジウムについて説明がある。シンポジウムの趣旨は、今年度頻発した災害を受けて、障害団体、関係団体の取組み、国の対策などをレポートし、先進的な防災対策の事例についてシンポジウムの形で意見交換し、今後の方向性を考えてはどうかと提案され、原案を元に進めることとなる。開催は2月後半を予定。

また現地調査の予算があり、現地でのヒヤリングも可能であるとのこと。

オブザーバの坂井氏より、各団体に「災害時の情報の流れ方」の調査に協力してほしいとの要請があった。

・次回委員会については、後日調整することとする。


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コンテンツ

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