障害者放送協議会 第1回放送・通信バリアフリー委員会 議事録(2006年5月24日)

日時: 2006年5月24日(水曜)午後6時30分から午後8時30分まで
場所: 戸山サンライズ2階中研修室
出席委員(敬称略): 寺島彰、高岡正、川井節夫、小松省次、川畑順洋、川越利信、清成幸仁、森本行雄、阿由葉寛、谷口真由美(太田晴康委員の代理)、久保田文(岩井和彦委員の代理)、梅垣正広
欠席委員(敬称略): 比嘉豪、伊藤宣義、大久保常明、荒井洋、多田薫、丸山一郎、植村英晴、河村宏
事務局: 片石修三、原田潔、外舘綾子、槇野眞紀恵

議題

  1. 平成17年度の総括
  2. 今後の計画について
  3. 放送協議会総会の資料について
    (1)平成17年度事業報告
    (2)平成18年度事業計画
  4. その他

配布資料

  1. 出席委員一覧(エクセル文書)
  2. 平成17年度事業の実施状況(ワード文書)
  3. 平成17年度報告(ワード文書)
  4. 個人情報保護法アンケート結果(エクセル文書)
  5. 障害者に配慮した新たな放送の指針の策定について(要望)(ワード文書)
  6. 平成18年度事業計画策定に関する資料(ワード文書)
  7. 「第11回IAAF世界陸上2007大阪大会」における字幕放送と解説放送番組の配信などについて(PDF文書)
  8. 政府インターネットテレビ(PDF文書)

議事録

1.平成17年度の総括

(1)「平成17年度事業の実施状況(資料2)」の説明(寺島)

  1. 「デジタル放送を含む字幕放送、解説放送、手話放送など障害者に関わる放送に関する要望事項をまとめ、関係機関に働きかける。」については、平成17年9月1日付で障害者に配慮した新たな放送の指針の策定について要望書を会長名で総務大臣宛提出した。また、総務省情報通信政策局と関係ができ、2回懇談会をもった。
  2. 「障害者に関わる放送・通信のモニタリングについての調査・研究。この問題に関するセミナーを開催する。」については、平成18年2月28日に国内外から5名の講師を招待し、放送における新技術へのアクセスおよび放送における障害者の描写に関するセミナーを開催し、多くの成果があった。
  3. 「すべての障害者のための放送の普及のガイドライン作成。同ガイドライン作成のための委員会設立を関係省庁に要望する。また、番組評価と放送局に気をつけてもらいたいことなどを記載したパンフレットを作成する。」については、前半は、iとともに総務省に対して要望した。後半は、未実施。
  4. 「個人情報保護法の実施に伴い、障害者が困っている事例を収集する。聴覚障害者がFAXで返答をもらえないなど、障害者が情報利用をするうえで困る事例があることが報告され、その具体例を収集するため、会員に対しアンケート調査を行う。」については、アンケートを実施し、20団体から約70の貴重な事例が寄せられた。そこでは、次のような事例があった。最近、契約時の本人確認が電話で行われることが多いが、聴覚障害者は返答できないため、直接窓口に行かなければならないということが増えている。行政機関が障害者の所在を教えてくれなくなったために、支援すべき障害者の所在がわからないなど障害者相談員の活動に影響を与えている。また、障害者団体も、災害時の救済計画を立てられない、義捐金の分配ができない、加入の勧誘ができないなどの支障が出ている。病院の窓口などで名前を呼ばずに番号で呼ばれるため、視覚障害者がわからなかった。回覧板をまわそうと家を確認したが教えてもらえなかった。視覚障害者が銀行・郵便局で代筆を頼むと手続きが複雑になったために断られたり、時間がかかるようになった。」
  5. 「積極的な番組作りに取り組んでいる機関を評価するような機会(たとえば、表彰など)を設けるなどについて、具体的な戦略を幹事会とも相談しながら企画を練る。」については、未実施であった。

(2)議論の内容

○未実施の理由は、制度的な問題か?

がんばってはいたが、専従の委員ではないので、時間が十分とれずにできなかったというのが理由である。

(3)結果

平成17年度報告(案)(資料3)について、了承された。

2.今後の計画について

(1)資料説明

○高岡案(資料6)の朗読(寺島)
  1. 放送のあり方について、デジタル放送の通信と融合、NHKのネット事業への参入など総務省で懇談が続いているが、視聴者、障害者が蚊帳の外に置かれたまま議論されている。アナログ放送が終了することを障害者のどれだけが知っているのか、視聴が保障されるのか、政府の責任が問われる。これは、障害者放送協議会として、意見を提出する必要があると思います。
  2. 2007年度に終了する字幕放送拡充の指針に代わる、新しい障害者向け放送の実施目標(ガイドライン)を策定を求める。具体的には、今年度中に実施目標を策定するための委員会設置を設ける。
  3. 2007年度は、参議院選挙があるが、政見放送の問題も取り上げる必要があるのではないか。
    政見放送に手話放送が入っているが、すべての選挙ではない、候補者の任意に任されている。字幕も任意であるなどの問題があります。
  4. 障害者を取り上げた番組の顕彰の問題は、幹事会に任せてはどうでしょうか。放送通信バリアフリー委員会は必要性があると幹事会に提案するまでで良いのではないか。
  5. 障害者放送協議会として、民放連、NHK、電波産業会ARIB、各種懇談会や委員になることや参考人の招致も要望する。
○「『第11回IAAF世界陸上2007大阪大会』における字幕放送と解説放送番組の配信などについて」資料の説明(久保田)

世界陸上2007が来年大阪である。その解説放送および字幕放送と、点字版および音声版の番組プログラム作成を障害者放送協議会で要望することについて提案する。

トリノオリンピックでは、字幕放送と解説放送において一定の前進が見られたと思うが、20007世界陸上のホストブロードキャスターがTBSのためにパイプがない。厚生労働省、総務省、民放連などの関係機関へ働きかけ、日本陸連とTBSに障害者放送協議会として、要望をとりまとめてはどうか。

具体的には、視覚障害者のために番組日程の点字版・音声版の発行、十分な事前情報の提供。実況放送番組における解説放送の配信を要望する。

○「政府インターネットテレビ」資料の説明(川畑)

政府インターネットテレビというのがあるが、視覚障害者はマウスが使えないにもかかわらず、画面上の上下左右のキーで操作するようになっている。視覚障害者にとっては使い難いこのようなメディアが増えていくことを懸念しているので、議論をしてほしいと思う。

(2)議論の内容

  1. 要望の提出先・方法について
    • ○民間団体、政府の各省庁にいろんな委員会があるが、障害者放送協議会として委員を送り込む。最初は、話し合いたいとか相談したいというようなアプローチでいくのが良い。
    • ○竹中総務大臣主催の「通信・放送の在り方に関する懇談会」には、多くの大企業から参加している。そこに障害者向け放送や通信問題をとり上げてもらうことが重要。
    • ○NHKの番組審議会には障害者の代表はいない。
    • ○電波産業界(ARIB)は、放送関係のいろいろな規格をきめるところであるが、障害者の意見も聞かずにデジタル放送の規格を決めた。
    • ○字幕・解説放送などの割合や、解説放送の出し方等具体的に列挙して要望を出したほうがよい。
    • ○少しトーンを高くして、存在感を示さないと、運動の機能は果たせない。
  2. 要望の内容について
    • (1)具体的目標について
      • ○2007年に終わる字幕放送普及の指針に代わって、字幕放送・解説放送・その他の障害者向け放送などについての指針を作成する必要がある。委員会を構成させることを、申し入れる必要がある。
      • ○著作権について、コピーの問題とアレンジの問題を区別して目標設定していく必要がある。
      • ○解説放送を何%にするとかという数値だけではなく、人の養成や費用の問題も取り上げる必要がある。
    • (2)政見放送について
      • ○参議院選挙をふまえて、政見放送を取り上げていったらどうか。以前政見放送の検討委員会があったが字幕は、コスト時間の問題で時期尚早とされた経過がある。自民党もインターネットを使った選挙運動の議論がされている。
    • (3)機器について
      • ○リモコンの操作が複雑になり、障害者だけでなく高齢者も操作が難しくなるのではないか。そのことについても取り上げる必要がある。端末はある程度の専用のものを考えた方が良い。
    • (4)デジタル放送に関する情報提供
      • ○2011年にアナログ放送が終わってどうなるのか、障害者だけでなく、一般の人も情報が不足している。
      • ○アナログからデジタルに変わるとき、アナログテレビが全然使えなくなるのか、何かをつければデジタルテレビになるというのがはっきりしていない。
    • (5)障害者の情報について
      • ○視覚障害者の多くがテレビを利用している等障害者のニーズを正しく伝えていく必要がある。
    • (6)スポーツ番組について
      • ○どのようなレベルの大会に対して放送・通信バリアフリー委員会として要望を出すのか基準が必要。
      • ○解説放送の拡充を要望していくための戦略的な優先度を考慮したほうがよい。一番目の優先度はニュースかもしれない。
    • (7)コストの問題
      • ○放送局は、番組制作費の1/2を情報通信研究機構(旧:通信・放送機構)分からもらっているが、字幕作成技術ほど解説放送の技術が進んでいないことや技術が使いにくい等の理由で手をださないのが実態。
      • ○コストを下げるための研究も必要ではないか。
    • (8)個人情報保護法
      • ○放置しておくと、個人情報保護法のしばりがきつくなり、重大な問題になる。総務省に要望書を出すときに、この問題点も伝えたほうがよい。
      • ○個人情報保護法を誤解して運用しているケースが多い。この法律を正しく誤解無く、正しく運営できるように総務省に伝える必要がある。
  3. 顕彰について
    • ○放送・通信バリアフリー委員会は多様な問題を検討することとして、番組の顕彰は幹事会にお願いする。
    • ○火曜サスペンスを賛美する傾向があるが、犯罪関係の番組を解説放送をつけているというだけで賛美するのが本当に妥当かどうか気になる。
  4. 著作権
    • ○視覚障害者向け専用ラジオ放送における著作権処理についても取り組むべき。
    • ○幹事会レベルで著作権問題は幹事会レベルで取り組むべき。
  5. セミナーの開催
    • ○障害者放送統一機構が12月6日に放送バリアフリーシンポジウムとのジョイントも可能性ある。
    • ○ガイドラインをつくらせることという大きなテーマがある。
    • ○字幕や音声解説等の技術についてNHKや民放との認識を共通にするための意見交換のための機会とするのが必要ではないか。

(3)今後の予定

○案を作り、メールで送る。了解のあと、総会にかける。


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コンテンツ

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