日時:
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2007年8月30日(木)15:40〜16:50
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場所:
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総務省
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参加者:
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(総務省情報通信政策局情報通信利用促進課)小原(こはら)弘嗣課長補佐、平松由美政策係長
(情報・通信バリアフリー委員会)寺島委員長、大嶋委員、宮本委員、川越委員、高岡委員、原田事務局
情報保障:手話通訳2名、要約筆記者2名
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1.小原弘嗣新課長補佐との挨拶
8/28にパブリックコメントに出された「視聴覚障害者放送の普及行政の指針」(案)に解説放送の数値目標が設定されたことなどについてお礼を述べた。
2.7月4日付障害者放送協議会の要望の回答を聞く
(1)地上デジタル放送の全面移行に当たって、障害者への情報保障を強化するために、
- 1) 視聴覚障害者に、字幕、手話、解説放送による補完情報が受信できる、地上デジタル放送セットトップボックス(受信用変換アダプター)またはそれに類似する機器を給付すること。
- 2) 低所得の障害者に、地上デジタル放送セットトップボックスまたはそれに類似する機器を無償で給付すること。
- 3) 字幕、手話、解説放送、また障害者に必要な固有の放送番組について放送全体に占める数値目標を示し法的拘束力を持たせること。
- 4) 放送局設備及び販売されるメーカーのテレビ及び受信機について、視聴覚障害者を含む多くの障害者が利用できるようにアクセシビリティガイドラインを整備し、また法的に義務化させること。
[回答]1),2)については、情報通信審議会で8月初旬に第4次中間答申が出た。来年夏までに支援対象や支援方法について、検討して公表する予定。3)については、平成20年度以降の行政指針について、現在、パブリックコメントを募集中であり、募集終了後、いただいたご意見を踏まえて、行政指針を策定する予定。また、これまで字幕放送は、現行の法的拘束力を持たない行政指針の下で、放送事業者の努力により着実に拡充されてきているところであり、今後についても、これまでと同様の法的拘束力を持たないスキームで問題ないと考えている。4)は、経産省の話かもしれないが、一般的な話としては、「デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送に関する研究会」(以下、デジ研)の報告に基づき「意見交換」の場で意見を聞いて、可能性があるか検討していきたい。
- Q (宮本)具体的にはどのようなことについて意見を聞くのか。
- A 総務省はオブザーバーであるが意見交換の場で出された意見を聞きたい。具体的な要望を踏まえて、可能性について検討していきたい。
- Q (高岡)情報機器やWebについてはアクセシビリティについてJIS化が行われたが、テレビについてはそうしたガイドラインもないので、当事者を含めて制定することを経産省の電気機器課にそれを伝えていただきたい。
(2)字幕、手話、解説放送、及び障害者に必要な放送番組の制作作業について放送局が単独で作業するのではなく、障害者に役に立つ技術を適用しレベルを保障するために統一機構など障害者の関連組織と連携して行うように指導すること。
[回答]放送事業者の判断であると考える。
- Q (大島)関西テレビの問題(捏造事件)は、放送局のもつ問題点である。放送への介入ではなく不適切業務への当然の必要な意見指導が行なわれるべきだったと思う。局は作業が閉鎖的でありそれも原因の一つである。作業の前提として当事者の意見を聞くように指導していただきたい。
- Q (高岡)事業者だけが考えるのではなく、実績のある統一機構や障害者が協力するために声をかけてほしいという意味だ。
- Q (宮本)手話に関する技術についても、CS統一放送や京都の全国手話研修センターに声をかけて欲しい。
(3)統一機構など放送に関する技術や番組制作の蓄積があり技術や機能、現在の通信方法が局のレベルに準じる者と認められる組織やNPOなどが放送局の放送番組に対して付与して配信する字幕、手話、解説放送を各放送局の字幕、手話、解説放送の時間数にカウントし、その制作費に対して現行の補助制度を適用すること。
[回答]字幕放送等の実績調査は、放送法第3条の2第4項の趣旨を踏まえた取組の一環であり、テレビジョン放送の番組を対象としている。通信の番組は対象ではない。また、助成制度についても、テレビジョン放送の番組を対象としており、通信の番組は助成の対象になっていない。
- Q (大島)要請に対する回答とは思いません。放送局が契約し、局が字幕の送信方法を他にも選択しただけだ。通信ではなく放送と認められないか。
- A (平松)放送は全国を対象としている。通信は、特定されている。(独)情報通信研究機構には、他の助成制度もあり、CS統一機構は活用しているはずだ。
- Q (大島)今回助成を付けていただいた事にはお礼を申し上げる。しかし放送もスクランブルをかければ同じではないか。CS統一機構は、障害者全体が対象であるが一般的に見られないようにはしておらずその意味では国民対象だ。
- Q (高岡)2011年の放送事業者が実施しようとしている放送番組のIPマルチキャストは、相手を特定した通信そのものだ。今のままでは字幕も手話も付かないことになる。
(4)放送のバリアフリー化を円滑に進めるために、放送と通信の融合に関わる各種委員会に、障害当事者団体を加えること。
[回答]それぞれの委員会開催の趣旨等を踏まえ、担当部局において、構成員が決定されるものと考える。
- Q (高岡)デジ研で、放送と通信の融合の問題で要望したが、別の場で協議されていると言うことだった。通信・放送の総合的な法体系に関する研究会の中間報告が6月に出ている。本答申が迫っているらしいが、障害者基本法でも施策形成の場に障害者当事者を含めることが記されている。放送・通信法改正の検討の過程に当事者を参画させて欲しい。
- Q (宮本)原点は、放送法にあるので、それに関する議論に参加させて欲しい。
- Q (寺島)放送法には、手話が含まれていない。一般的は、担当部署が障害当事者を呼ぶべきはないか。
(5)インターネットやその他の方法で行われる通信で特に災害緊急時に、障害者団体などが必用で有益とする情報通信事業に対する援助を検討すること。
[回答](独)情報通信研究機構で助成金交付を行っており、CS統一機構にも助成を行っている。今後も、この助成制度を活用していただきたい。
- Q (大島)デジタル化にともなって、障害者の要望を実現するように努力していただきたい。字幕は増えてきたが、増える方向は保障される方向にあるのかわからない。放送局は限界点にきていると考えているようだ。解説放送もできるが心配である。災害については、とくに要望したい。放送事業者で災害時の対応をしてほしい。できないなら、補完放送をするから支援して欲しい。
(高岡)特に災害時は、災害対策基本法などで放送事業者は国民に情報提供する義務を負っている、視聴覚障害者に災害情報を届けるのは基本的責務のはずだ。
- Q (寺島)以上のご回答を文書で頂けるか。
- A 検討する。
3.その他
(1)「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針(案)に対する意見募集」について
- Q (寺島)手話の問題はどうするのか。
- A デジ研の報告書に基づいている。技術的な課題等を考慮しつつ検討することとされている。
- Q (宮本)技術的な問題はない。技術についての議論の場を作っていただきたい。
- Q (大島)日本のデジタル放送方式をブラジルやタイに売り込んでいるが、手話放送が技術的に難しい、解説放送も5.1サラウンドは現行受信機ではデコード(再生)出来ないなど技術的な問題がある。別のチャンネルによる補完放送が必要である。現状のまま放送局に認定してほしい。
- A それは、ひとつの解決策かもしれない。
- Q (寺島)解説放送は、人的な問題は大丈夫か。
- A 各事業者に努力していただきたい。だれでも情報が得られるようになるのが望ましいと考えている。
- Q (高岡)パブリックコメント案に示された指針(案)の内容を最低限守って欲しい。字幕も生放送が対象に含まれることになり前進だ。パブリックコメント案に5年後を目途に見直すとある、手話放送についても5年後をめざして一緒にがんばって欲しい。現在のデジタル放送が技術的に難しいということならば他のCSやインターネットなどの別のプラットホームを使うしかない、実現するようにしてほしい。
(2)「デジタル放送対策本部」で障害者問題をとりあげるように言って欲しい。われわれにも審議の場に声をかけてほしい。
(3)障害者権利条約について
- Q(寺島)条約に示された理念を国内法できちんと対応してくれるのかどうか。
- A 外務省をはじめとした関係省庁にて検討中。
- Q 権利条約の草案に情報アクセスに関する項目はなかったのだが、全難聴が働きかけて国際障害コーカスIDCの案に追加してもらった。ぜひ、国会で批准されるよう総務省も後押ししてほしい。
(4)後期障害者プランに、今回の指針(案)の内容を含め、字幕、手話、解説放送の普及目標や人材育成の数値目標を明記すること。
- Q(高岡)手話放送は行政の指針にもない、手話通訳、解説者の養成を何人にするとか盛り込んで総務省としてのメッセージとして欲しい。
(5)「意見交換の機会の場の設置」についていつごろから始まるのか
- A 現在、全国文字放送・字幕放送普及推進協議会にて、運用の詳細を検討中。
- Q Dopaは入っているのか、
- A 入っていない。同協議会は、放送事業者、字幕制作会社、電機メーカーなどによって構成されている。
- Q(大島)これから統一機構の土台を活用していこうという議論が始まっている。CSの電波を保障して欲しい。特に緊急災害時の対応としても必要である。検討をお願いしたい。
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