著作権法改正に関わる要望について

平成14年10月15日

内閣総理大臣
内閣府障害者施策推進本部長
小泉 純一郎 殿
文部科学大臣
遠山 敦子 殿

障害者放送協議会
代表 笹川 吉彦
著作権委員会委員長 河村 宏

著作権法改正に関わる要望について

昨今の通信技術の目覚しい発展を受けて、著作権は逐次改正されてきましたが、一方で障害者の著作物の利用については、1988年の衆参両院における、障害者の公表された著作物に対する適切公正な利用を求めた付帯決議があったにもかかわらず、ほとんど顧みられることがありませんでした。

そうした著作権法改正の歴史において、2000年の著作権法第37条の改正は、公衆送信権において、視聴覚障害者への点字や字幕の配信を可能にした非常に画期的なものであり、障害者の文化や情報を享受する権利を増進する貴重な一歩となりました。

しかしながら、IT化の著しい進行や障害者の多様なニーズを鑑みると、残念ながら2000年の法改正だけでは対応できない側面もございます。

つきましては、ここに以下の点を要望いたします。

1. 字幕や手話を付与したビデオ・DVD等の製作を円滑に進めるため、複製権の一部制限を行うこと。

2. 第37条の字幕送信について、インターネットおよび、その他の方法を通じて配信できるようにすること。

3. 第37条の字幕送信について、利用者を聴覚障害者だけでなく、LD(学習障害)者や知的障害者も利用できるよう、利用対象者を拡大すること。

4. 第37条改正に伴って認められた要約に限定された翻案権(第43条3)の制限を、LD(学習障害)者や知的障害者も情報にアクセスできるようにするために、内容の書き直し等も含む柔軟なものに拡大すること。

5. 第37条に規定されている録音図書を含む音訳物について、視覚障害者だけではなく、音声情報を必要とするLD(学習障害)者や高齢者なども利用できるよう、利用対象者を拡大すること。

6. 視覚障害者情報提供施設(点字図書館)だけではなく、公共図書館及び教育機関等においても、無許諾で録音図書を製作できるようにすること。

7. 国民が等しく教育を受ける権利を実現するために、弱視者のための拡大教科書について、第33条を準用すること。

8. 障害者の著作物の利用に関する包括的な実態調査を実施すること。実施に当たっては、当協議会と共同して行うこと。

9. 国および文化庁におかれましては、著作権審議会の委員に、視覚障害・聴覚障害など各分野の障害当事者代表を含めるとともに、障害者の情報アクセスと著作権について、障害者団体と継続的に協議する場を設けること。

以上


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