アテネオリンピック及び同パラリンピック放送に関する要望について

平成16年7月12日

(送付先一覧)

障害者放送協議会
代表  笹川 吉彦(日本盲人会連合 会長)
副代表 安藤 豊喜(全日本ろうあ連盟 理事長)
副代表 兒玉 明(日本身体障害者団体連合会 会長)
副代表 藤井 克徳(日本障害者協議会 常務理事)
副代表 松尾 武昌(全国社会福祉協議会 常務理事)
副代表 板山 賢治(日本障害者リハビリテーション協会 顧問)

 障害者放送協議会は、21の全国的な障害者団体で構成され、放送や情報通信等のバリアフリーについての協議、緊急災害時における障害者に対する情報提供、障害者の放送に関する著作権等の制度・施策について調査研究と提言等を活動目的とし、「放送・通信バリアフリー委員会」、「災害時情報保障委員会」、「著作権委員会」の3つを設けて取り組んでいます。

 本年ギリシア・アテネで開催されるオリンピック、パラリンピックは日本人や各国のアスリートたちの活躍が期待され、多くの国民が視聴できることを望んでいます。その放送にあたりましては、障害の有無に関わらず、全国民が等しく視聴できるように、以下のとおり要望します。

■全体的についての要望

1.番組制作企画の段階から、障害当事者・団体の意見を反映させるため、当協議会との連絡協議の場を設けて下さい。
2.情報格差が生じないように、放送バリアフリーガイドラインを策定して下さい。
3.放送中、障害当事者からの要望を受け、番組制作と放送にフィードバックする窓口を設けて下さい。

■聴覚障害に関わる要望

 聴覚障害者がリアルタイムに情報を得、その展開を楽しむためにも、オリンピック開催期間中における字幕や手話が挿入された中継番組時間の拡大・わかりやすい字幕テロップ等、画面上での視覚的情報の増加を要望します。また、聴覚障害のある選手が出場する可能性があります。

1.生放送番組に字幕を付けて下さい。
2.競技後のニュースや特別番組にも字幕を付けて下さい。
3.全てを文字にするのでなく、読みやすい字幕で放送して下さい。
4.文字と背景など見やすい表示で実施して下さい。
5.手話通訳者付きの放送をして下さい。
6.利用者の意見を聴取の上実施して下さい。
7. 著作権法第37条2によるリアルタイム字幕配信事業者(*注)に、字幕データや放送計画の提供などに協力して下さい。

■視覚障害に関わる要望

テレビ放送について

視覚障害者は、テレビで映像を流されても音声による説明が不足しているのでよくわかりません。(「ご覧の通りです。」は禁物。大変でも読み上げて下さい。)

1. 音声でラジオ並みの実況方送を必ず入れて下さい。
2. 解説放送ではなく、本放送で実況放送をして下さい。
3.テロップの内容は必ず音声でも流して下さい。
4.視覚障害者が参加できるデジタル放送にして下さい。
5.オリンピック関連放送番組の紹介を頻繁に流して下さい。

ラジオ放送について

1.オリンピックニュースの時間を設け、決まった時間に必ず放送して下さい。
2.可能な限り全ての競技を放送して下さい。
3.番組予告は必ず流して下さい。

■知的障害に関わる要望

1.わかりやすい文字でテロップにして下さい。(文字はなるべく大きく、ルビを付け、簡単な表現で、表示時間を長めにして下さい。)
2.L字型画面等の工夫をして下さい。
3.文字フラッシュを避けて下さい。
4.解説は、できるだけゆっくりと、簡単な言葉でわかりやすい表現を使って下さい。
5.応援しやすいよう、自分の国の選手をわかりやすく紹介して下さい。(例えば陸上などはコースにラインを入れたり、バレーなどはチームのコートに印をつけるなど)
6.勝敗がわかりやすいよう表示を工夫して下さい。(点数や順位、試合の途中経過などもその都度よくわかるよう説明をしてもらい、勝ち負けを判断しやすくするなど)
7.競技が始まる前に、競技ルールの説明をやさしい言葉で説明して下さい。
8.表彰台で表彰される国について、文字放送でやさしくその国の概要を説明して下さい。

■精神障害に関わる要望

1.放送前に、障害がある方にも存分に楽しんで頂けるように、関係団体からの要望をうけ、「字幕、手話通訳を同時放送いたします」といった旨の説明を行って下さい。
2.放送後に、番組に対して意見、感想を述べることができる仕組みを考慮して下さい。(一般的な「ご覧の放送局までご意見を」ではなく)
3.競技のルールや、オリンピック全般の歴史等を放送中に盛り込むと関心が高まるので、配慮して下さい。

■学習障害に関わる要望

1.聞き取りに困難を持つタイプの学習障害者にとっても、テレビ放映における字幕テロップ付加は聴覚障害者の場合と同様に必要なものです。放映画面上での視覚的情報の充実を要望します。
2.読字に困難のあるタイプの学習障害者にとっては、テレビ放映画面上の「文字情報」の読み取りに困難があります。視覚障害者と同様に、音声でも情報を提供して下さい。

注:(社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会・(財)日本障害者リハビリテーション協会・特定非営利活動法人 CS障害者放送統一機構

要望書送付先 一覧

日本放送協会(会長)
株式会社フジテレビジョン(スポーツ部)
株式会社東京放送(代表取締役社長)
日本テレビ放送網株式会社(代表取締役)
株式会社テレビ朝日(代表取締役)
株式会社テレビ東京(代表取締役社長)
民間放送連盟(会長)
株式会社朝日新聞社(代表取締役社長)
株式会社毎日新聞社(代表取締役社長)
株式会社読売新聞社(代表取締役社長)
株式会社日本経済新聞社(代表取締役社長)
株式会社中日新聞東京本社(代表者)
株式会社共同通信社(代表取締役社長)
株式会社時事通信社(代表取締役社長)
内閣府障害者施策推進本部(本部長)
総務省情報通信政策局情報通信利用促進課(課長)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課社会参加推進室(室長)


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