放送・通信に関する要望

平成16年11月16日

文部科学大臣
中山 成彬 様
<他、送付先一覧>

障害者放送協議会
代表 笹川 吉彦(日本盲人会連合 会長)
副代表 兒玉 明 (日本身体障害者団体連合会 会長)
副代表 安藤 豊喜(全日本ろうあ連盟 理事長)
副代表 藤井 克徳(日本障害者協議会 常務理事)
副代表 板山 賢治(日本障害者リハビリテーション協会 顧問)

著作権法の改正に関する要望

日頃より障害者福祉の向上については格別のご高配を賜り厚く御礼申しあげます。

障害者関係21団体から成る「障害者放送協議会(以下、本協議会)」では、先般、文化庁長官官房著作権課より募集された「著作権法改正要望(照会)(平成16年8月4日付)」に対し、下記(別紙)の要望を行いました。

関係各方面から寄せられた要望は、今後、文化審議会著作権分科会にて「著作権法に係る検討事項(仮題)」として整理された後、年明けには公表される予定であると伺っております。

私たちは、著作権は大切な権利であり、すべての権利と同様、法の下に最大限に尊重されるべきだと考えております。

一方、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、知的障害、自閉症・学習障害・注意欠陥多動性障害等の障害、高次脳機能障害、およびその他の障害をもつ私たちは、報道や災害等の緊急情報、教育・職業等に必要な文献、娯楽等を含む、生活上欠くことのできない著作物を、その障害のために利用・鑑賞することができません。

障害をもつ人たちが著作物を利用できるよう、著作権法の中でも様々な配慮がなされています。しかしながら、点字、字幕、手話通訳、音訳を含む、著作物を利用するための手段や技術等を活用するうえで、著作権法のさらなる整備なくしては解決できない課題が、なお残されています。

私たちは、すべての人が必要な情報を利用することは1つの権利であると捉え、著作権と福祉の調和ある発展を目指し、下記のように要望いたします。

障害をもつ人が必要な情報を利用できるよう、著作権法の下記の点について、必要な整備・改正が行われるようにしてください。

<著作権法改正に係る、本協議会の要望事項(詳細は別紙参照)>

1.字幕や手話を付与したビデオ・DVD等の製作、およびインターネットのストリーム配信や通信衛星による放送(コンテンツ)製作を円滑に進めるため、複製権の一部制限を行うこと。(71)

2.特に字幕を付与したビデオ・DVD等、およびインターネットのストリーム配信や通信衛星による放送コンテンツについては、利用を聴覚障害者だけでなく、知的障害者、発達障害者(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等のある人。以下同じ)、高次脳機能障害者等も利用できるよう、拡大すること。(68)

3.字幕を付与したビデオ・DVD等、およびインターネットのストリーム配信や通信衛星による放送(コンテンツ)については、聴覚障害者だけでなく、知的障害者、発達障害者(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等のある人。以下同じ)、高次脳機能障害者等もニーズがある。聴覚障害以外の障害者の支援については、その障害者の特性等をよく理解した、それぞれの障害者に関わる団体、組織が制作できるようにすること。(68)

4.第37条の字幕送信について、インターネットのほか、衛星通信を含む放送・通信等による方法を通じて配信できるよう明記すること。(69)

5.第37条の字幕送信について、利用者を聴覚障害者だけでなく、知的障害者、発達障害者(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等のある人。以下同じ)、高次脳機能障害者等も利用できるよう、利用対象者を拡大すること。また、「聴覚障害者の福祉の増進を目的とする事業を行う者」以外にも、その他の障害者福祉団体、NPO等も送信できるようにしてほしい。(68)

6.第37条改正に伴って認められた字幕に関する翻案権(第43条3)の制限を、知的障害者、発達障害者(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等のある人。以下同じ)、高次脳機能障害者等も情報にアクセスできるようにするために、内容の書き直し等(例えば難しい表現の書き換え)も含む柔軟なものに拡大すること。(70)

7.視覚障害者情報提供施設(点字図書館)だけではなく、公共図書館及び教育機関等においても、無許諾で録音図書を製作できるようにすること。(67)

8.第37条に規定されている録音図書を含む音訳物について、視覚障害者だけではなく、音声情報を必要とする知的障害者、発達障害者(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等のある人。以下同じ)、高次脳機能障害者、上肢麻痺等の身体障害者、高齢者なども利用できるよう、利用対象者を拡大すること。(67)

9.視覚障害者の福祉の増進を目的として、盲人用録音物の公衆送信を可能にしていただきたい。(67)

10.個人が所有する著作物を所有者自身が利用するために、視覚障害者のための録音など、本人が読める形に第三者が変換(複製)することを、第三十条の私的使用の範囲として認めること。(73)

11.障害者用資料を製作・編集する者を養成する過程の著作物の使用について、自由に行えるようにして欲しい。(74)

12.公表された著作物(主として印刷物)については、障害者の情報保障の目的で、コンピュータで読み取れる形のデータ(テキストデータ等)で複製、記録、送信できるようにしてほしい。(75)

以上

注:要望項目末尾の(括弧数字)は、文化庁文化審議会著作権分科会法制問題小委員会による整理番号

*この要望書は、8月に文化庁に提出した著作権法改正要望と同じ内容のものです。

<他、送付先一覧>

内閣総理大臣 内閣府障害者施策推進本部長
小泉 純一郎 様

厚生労働大臣 尾辻 秀久 様

経済産業大臣 中川 昭一 様


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