障害者に配慮した新たな放送の指針の策定について(要望)

平成17年9月1日

総務大臣
麻生太郎様

障害者放送協議会
代表 笹川 吉彦

障害者に配慮した新たな放送の指針の策定について(要望)

 放送・通信におけるバリアフリーの推進につきましては、貴省はじめ、放送事業者のご理解と特段のご高配により、着実に進展しており厚く感謝申し上げます。

 さて、貴省が策定した2007年までに達成する字幕放送普及の指針の達成状況を踏まえ、次のとおり要望します。

1.要望事項

2.理由

 1997年に、郵政省(現総務省)は2007年までに字幕放送をほぼ100%実施する字幕放送普及の指針を定めました。NHKは2006年までに前倒しで達成する目標を、民放キー局などは90%台の目標を持ち、毎年改善されています。

 しかし、この目標は放送の多くを占める生放送を対象外とし、キー局以外のローカル放送局、教育放送、放送大学、衛星放送等などの実施状況は極めて不十分なままです。また、視覚障害者向けの解説放送はこの10年間ほとんど進展がなく、NHK(総合)でも全番組数の2.9%に留まっている状況であり、その他の障害者については何の配慮もなされていません。これらのことは、放送の使命を十分に果たしているとは言い難い状況であります。

 地上波デジタル放送の普及状況、光回線によるブロードバンド・インターネットの普及による通信と放送の融合等に鑑みて、すべての障害者が放送を視聴できるよう新たな障害者向け放送施策が求められています。

以上

図表1-39 字幕送信普及行政の指針
普及目標の対象 目標 備考
放送時間 放送番組
NHK 午前7時から
午後12時まで
新たに放送する字幕
付与可能な全ての
放送番組(注)
2007年までに対象の
放送番組の全てに
字幕付与
(現状)
NHK総合 30%
教育放送については、
聴覚障害者等の
ニューズの実態を
踏まえ、できる限り
多く字幕付与する。
放送大学学園 聴覚障害者等の
ニューズを踏まえ、
できる限り多くの
字幕付与
地上民法
放送衛星による放送
(NHKの放送を除く)
2007年までに対象の
放送番組の全てに
字幕付与
(現状)
東京キー局 4%
独立U局については
目標年次を弾力的に
とらえることとする。
通信衛星による放送
有線テレビジョン放送
当面は、できる限り
多くの放送番組に
字幕付与

(注)「字幕付与可能な放送番組」とは次に掲げる放送番組を除く全ての放送番組

  1. 技術的に字幕を付すことができない放送番組(例:現在のところのニュース、スポーツ中継等の生番組)
  2. オープンキャプション、手話等により音声を説明している放送番組(例:字幕付き映画、手話ニュース)
  3. 外国語の番組
  4. 大部分が歌唱・器楽演奏の音楽番組
  5. 権利処理上の理由等により字幕を付することができない放送番組

資料:「字幕放送へのアクセス機会の拡大に向けて−字幕放送普及行政の指針の策定」(平成9年11月17日 郵政省(現 総務省)報道発表資料)より抜粋


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