世界知的所有権機関外交会議(2013年6月17-28日)に関する要望書

世界知的所有権機関外交会議(2013年6月17-28日)に関する要望書

2013年6月24日

内閣総理大臣
 安倍 晋三 様

障害者放送協議会
代表 竹下 義樹

 日ごろより障害者施策の推進にご尽力いただいていることに心より敬意を表します。
 私たちは、全国19の障害者関係団体から構成される協議会で、1998年の設立以来、放送・通信のバリアフリーや、情報アクセスの促進に関わる活動を行ってきました。
 さて、「視覚障害者・読字障害者に関する著作物へのアクセスを改善するための条約」制定のために、本年6月17日より28日まで、モロッコにて世界知的所有権機関の外交会議が開催されます。この外交会議に於いて、障害者の著作物への円滑なアクセスの促進のため、日本政府代表が以下の2点に特に留意し、本条約成立に向けて積極的に交渉を進められるよう要望いたします。

  1. B条の受益者には「手話を必要とする人」が含まれること。
  2. わが国ですでに実施されている「障害者による著作物の円滑な利用のための著作権の一部制限措置」を後退させないこと。

【要望の理由】
 障害者の著作物への円滑なアクセスの促進は、度重なる国会の決議において国に要請されてきましたが、2010年1月施行の著作権法によって出版物のアクセスに関しては大きな前進がありました。しかしながら、障害者権利条約が保障する障害者の完全参加の目標を達成するためには、障害者の知識アクセスを保障するためそれぞれの国で著作権を制限して製作されたアクセス可能な複製物の国際交換が必須であり、そのための国際条約の交渉が重ねられてきました。
 このたび世界知的所有権機関が186の加盟国に呼びかけて開催するこの条約の成立を目指す外交会議においては、視覚障害者と共に両手で本が持てない人やディスレクシア等の読書に障害がある人々を受益者とする条約案の検討が行われていますが、手話を必要とするろう者が実態として読書に障害があるという事実の認識が明確ではありません。そこで、19の障害者団体で構成する当協議会は、日本政府の交渉団に、同条約の受益者から手話を必要とする人々が排除されないように特段の配慮を持って、同条約が真に国際的な共生社会構築に資するものとなるために奮闘されますよう強く要請いたします。

以上

<他送付先一覧 文書(写し)>
文部科学大臣
外務大臣
文化庁長官
文化庁著作権課長
内閣府障害者制度改革担当室長
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室長


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